佐藤亜紀

天使
「天使」はたしかに生硬だ。緻密でシニックで完成された文章ではあるが、しかしそれだけの本なのも確かだ。それは彼女が、ある種の音楽家がそうであるように、技巧的な高みのみを目指しているからだ。残されたのは文章を邪魔しない程度の「物語」だ。それは自足しているし、完結している。だから読み終わっても物語としての余韻は一切残らない。いっそ小気味がよろしいくらいだ。
うん、まあつまり、無理にゃ勧めないよと言う話。ところで今度下記のような催しがあるのだが、どうか。
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