天国にそっくりな星

天国にそっくりな星 (ハヤカワ文庫 JA)

天国にそっくりな星 (ハヤカワ文庫 JA)

ここ最近ライトなコメディタッチの作品が多いが、相変わらずの神林節は健在である。デビュー作から一貫して「言葉」を軸に世界の実在への疑義を呈してきた彼だが、このモチーフの揺らがなさには正直恐れ入る。
ところで演劇でプロットと言う用語がある。舞台の一シーンにおける、登場人物の数とか、出入りのタイミングを書いたものだ。このひとはこの、プロットの構成が非常に優れている。思想的な方面で評価ばかりされいるけど、ちょいとそこらへんに注意しても面白いと思う。登場人物達の軽妙な会話は「蜘蛛女のキス」に繋がるものがあると思うのだが、どうか。
……どーでもいいが、解説が元長なのは何故?