演技と演出

演技と演出 (講談社現代新書)

演技と演出 (講談社現代新書)

わたしゃこの人の大ファンなのですが、それを抜きにしてもこの本は必読ですな。混沌とした観念論の世界だった「演出」と言うものがドラスティックに腑分けされて行くさまは実に小気味よい。その気になればコミュニケーション論としても読めましょう(そういう受け止め方は、個人的にはちょっとどうかと思うけど)
一昔に比べて格段に語り口が平易になっていて、そのことは良いこととばかりじゃないけど、平田自身の思想がこなれて来たことの証拠だとは思う。「共有空間のもつコンテキスト」という着眼点は、当り前のようでじつに鋭い。また、かれの語る演劇の発達史がそのまんま近代思想の潮流にかぶっているあたりにはぞくぞくしました。
また、観に行かせていただきます。あなたの作る劇を愛していますので。