前日島

前日島
ウンベルト・エーコ
エーコ教授大暴れ! そらもー好き勝手絶頂にやりたい放題です。
あいかわらずのスラップスティックなジェットコースターストーリー。読者の襟首をむんずと捕まえてあちらこちらと振り回しながら、あさっての方向に向かって饒舌に叫び続けるとんでもねー語りぶりには心底疲れます。たまんねーなー。うひひ。
しかし結末のひどく優しい余韻にはびっくりしました。どうしたんだ教授。読者に対して世界への不審と存在の不安を強烈に突き付けるのが<貴方>ではなかったのか?
前作(フーコーの振り子)に比べるとずいぶんと解かりやすいように書いてるのでびっくりしますが、それはこの結末に至るための伏線だったのですねー*1

追記
山形浩生が書評を書いてたので読んだけど、切れ味わるーい。と言うか氏の持ち味は奇抜な発想と傲岸な態度で快刀乱麻を裁つ説明機械なところなので、論理的に解体して行くだけでは何も残らない本書のようなものとは会わないのじゃないかしら。
http://cruel.org/cut/cut200201.html

*1:エーコ教授の本は過剰な説明と無限回帰する表象の固まりなので、どういう風に読んでもかまわない