桜の文学史

桜の文学史 (文春新書)

桜の文学史 (文春新書)

堪能したぁああ。一冊丸々桜をめぐる素敵旅行だった。大満足だ。
上古から昭和に至る文学上に表れる桜愛を丹念にたどった作品だ。王朝の歌に表れる桜。西行吉野桜。哩揺の里桜。桜鬼たち。江戸のソメイヨシノ。死と結びつけられる経緯。どこを向いても桜尽くしだ。それでもなおお腹一杯にならないところが桜の凄いところなわけですが。
今宮の花鎮めとかいいよなー。

やすらきたる、やすしや
花や咲たるや、やすらい花や

や、とみくさの花や、やすらい花や
や、とみをせばなまえ、やすらい花や
や、とみをせば、みくらのやまに、やすらい花や
や、あまるまで、なまえ、やすらい花や
や、あまるまで、いのちをこわば、やすらい花や
や、千代に千代そえや、やすらい花や
や、この殿を、なまや、やすらい花や
や、この殿を、かぬのせきと、やすらい花や
や、祝しめて、なまえ、やすらい花や
や、みととのにせんや、やすらい花や
や、さけなえ、こまえ、や、とるまろもやすら
や、さけなえ、こなえ、や、ひくまろもやすら

や、さかこをたびに、とりたつなりや、
宵に来て、ねなましかばや、
とりたたましや、たたましや、
いまあらそわで、ねなましとのを、
いまおもいでて、あなしたら恋し

ぞくぞくする。桜の話をむしょうに書きたくなる事必至である。