ネジ式ザゼツキー

ネジ式ザゼツキー (講談社ノベルス)

ネジ式ザゼツキー (講談社ノベルス)

面白かった。御手洗シリーズの最新刊だが、ここのところこのシリーズは「物語」がただの消費財になっていくさまをあからさまに示していて、作者も読者も苦しんでいた。ついには作者は日本を捨ててLAに移住してしまうわけだが、そのことでようやく救われたのだろうか。まさに大御所の面目躍如の筆致の冴えを見せてくれた。
以前の「津山三十人殺し」と同工異曲の風もあるが、ずいぶんと昇華され、洗練を見せている。落ち着いたのだと思う。よかったなぁ。